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リアル北斗の拳の世界でロケット弾を打ち込まれる日本人の体験談

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イスラムの世界で酒を飲む(イスラムでは酒はご法度)という超絶面白ルポ「イスラム飲酒紀行」

私が読んだ世界の旅系の本の中でも、群を抜いて面白いものでした。

その著者、高野秀行氏の最新作は「ソマリア」の体験記(2冊目)

ソマリアって私の中では子供の頃によくニュースになってた、くらいの印象しかなかったんですが、なんでも「リアル北斗の拳」の世界とも呼ばれているようなとんでもない世界なんだとか。

イスラム飲酒紀行も十分すぎるほど面白かった本なんですが、このソマリア本は、もうそれを圧倒的に上回るとてつもない面白さ。

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ソマリアってこんなところ

ソマリアって「名前は知ってるレベル」で一体全体どういう国なのか全然知らなかった。

ソマリアが国の体をなしていたのは1991年までだ。独裁政権が倒れてからは無数の武装勢力や自称国家が跋扈し、ソマリアは20年以上無政府状態であった。

その中に独自に内戦を終結させ、あろうことか複数政党制による民主主義を達成した「謎の国」があるという。ただし、国際的には一切認められていない。

ソマリ人と彼らのクラス土地は、驚くほど世界的に知られていない。(中略)例えば、日本政府の外務省もソマリア全土を「退避勧告」の赤で塗りつぶしている。

ソマリ世界は現代における数少ない「秘境」

そもそも、ソマリアとかソマリとか、言葉がごちゃごちゃになってますが、いちおうこういう風に区別します。

「ソマリ人」という場合、ソマリ語を話しソマリ文化をアイデンティティとする民族全体。

「ソマリランド人」はソマリランド共和国の国民

「ソマリア人」といえばソマリア連邦共和国

ソマリアという地域は未だに色々ごっちゃごちゃのままで、様々な国が乱立していて、たぶん世界中のほとんどすべての人がこの辺を全然理解できていない地域。

奇跡の民主化の国とリアル北斗の拳の世界の体験ルポ

そんな中、この本で筆者が訪れるのは「奇跡の民主化」を成し遂げたソマリランドという「自称国家」(国連のどの国も認めていない)と、「リアル北斗の拳の世界」である南部ソマリア。

なんていうかもう、こんな「誰も知らない」上に「とんでもなく恐ろしい所」に行ける筆者の行動力だったり好奇心だったりがとてつもなさすぎて、しかも文章も面白くて超絶に面白いのです。

登場するソマリ人たちはどれもこれも変な人ばかりだし、なによりも「ソマリ人」という人種が、日本人から見て変な所でいっぱい。

最初っから最後まで知らない世界すぎて最強に面白いんだけど、その中でもやはり突出して最強なのが、便秘状態で戦場の最前線にまで無理やり連れてこられてしまい、そこから帰国するまで。

ふだんは要塞のようなホテルに隔離されている自分が、田舎の木賃宿で、しかも兵士と並んで寝ている。生のソマリアを体験したい私のとっては夢のように素敵な状況のはずだが、それも便秘がぶちこわした。

試しに踏ん張ると(中略)上部の小さい窓から朝の光が差し込んでいた。神々しいとさえいえる瞬間だった。

どうしてこの人たちはこんなにも子供っぽく、幸せなのか。知事の名誉欲に付き合わされ、さんざん騙された挙句、最前線に連れてこられたというのに。

「この変でちょっと戦闘でも始まらないかあ」と戯れに思ったりしたが、戯れにすぎない。(中略)頭上の兵士が機関銃を乱射しはじめた。「アンブッシュ(待ち伏せ)だ!!」

最後にもう少しどんでん返しはあるんだけど、とにかくこのあたりの体験談が強烈すぎ。

すんごい面白くて一気に読みきってしまって、そしてそのまま一気に高野秀行ファンになり、続けざまにKindleで他の著書を買いあさっている所です。

参考

ソマリア – Wikipedia


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